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どっちがいい?個人事業と会社設立

法人成りのメリット・デメリット

個人事業主の方で会社設立(法人成り)を検討されている方や、起業を考えている方で個人事業主として起業した方がいいのか会社設立の方がいいのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回は個人事業の場合と法人成りの場合のメリット・デメリットをまとめました。

法人成りのメリット

1.給与所得控除が受けられる

給与所得控除とは簡単に言えば給与収入から引くことができる経費のことです。

個人事業主の場合「収入―経費」で所得を計算します。その経費は実際に支払った経費等の領収書を自分で集計して計算しなければなりません。

サラリーマンの方でも給与をもらうために様々な経費を自分の懐から支払っていると思いますが、その経費をいちいち集計するのは面倒です。そのため国が給与収入額に応じて認めている概算経費、これが給与所得控除です。

年収103万円の方の給与所得控除額は65万円、年収1,000万円超の方の給与所得控除額は220万円というように年収によって決まっています。 

法人成りして経営者自身が給与を受け取るようになれば経営者自身も給与所得控除を受けることが可能になり、節税につながります。

2.法人税の税率は一定

所得税は所得が増えるにつれて税率が段階的に高くなります。所得税の税率は5%から最大45%で、さらに住民税10%、個人事業税も約5%かかります。

一方、法人税の税率は住民税、事業税を合わせて約30%です。 

所得が一定以上の方は、法人成りをして法人の利益から経営者自身に給与を支払うことで、法人と経営者個人に所得が分散され、経営者自身の所得税の税率を低く抑えることができます。

どれぐらい所得があれば、または経営者の給与をいくらにすれば所得分散のメリットが受けられるかはケースバイケースで綿密なシミュレーションが必要です。試算したい方は税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

3.家族に役員報酬(所得を分散できる)

個人事業の場合はその所得すべてが事業主の所得になり所得税がかかります。個人事業でも配偶者に給与を支給することは可能ですが、税務署に届出をしなければならないなど色々な制限があります。

法人化した場合は家族を役員にして給与を支払うことで所得分散の効果があります。

家族に給与を支払うことで所得税の税率を抑えながら給与所得控除の恩恵を受けることができます。

4.消費税が最大2年間免税

2年前の売上が税込み1,000万円を超えている事業者は消費税を税務署に納めなければなりません。個人事業主であっても法人であっても同じです。

個人事業主が法人成りした場合、法人の事業は1期目になるため、2年前の売上はありません。ですので、最大2年間、消費税が免除される可能性があります。

法人化した場合、資本金を1,000万円以上にしてしまうと、1期目から消費税がかかりますのでご注意ください。

5.赤字は年間繰り越し可能

個人事業主の場合、青色申告をしていれば赤字を年間繰り越すことが可能です。

法人の場合、青色申告をしていれば最大年間も繰り越すことが可能です。

6.生命保険料が経費になる

個人事業主が生命保険に加入しても全額経費計上できません。個人事業の場合は、
確定申告の生命保険料控除で支払った保険料の一部を所得から控除します。

その生命保険料控除額は保険料をたくさん支払っていても最大で12万円までです。保険契約の内容によってはどんなんにたくさん支払っても最大4万円までしか控除できないこともあります。

 法人の場合、法人契約することで生命保険に加入した場合は、保険の種類によって、全額あるいは半分経費計上が可能になります。

7.退職金が経費になる

個人の場合、個人事業主自身に対する退職金は経費として認められません。これに対して、法人成りすると、経営者に支払う退職金は法人の経費になります。 

法人契約で加入した生命保険の保険金(あるいは解約返戻金)で退職金を支払うことで、節税効果も期待できます。
なお経費として認められる退職金には上限がありますので、ご注意ください。

8.社会的信用が得られやすい

個人事業主と法人では社会的信用が断然違います。法人の方が、融資が受けられやすいですし、大企業の場合、法人であることが取引の条件であることもあります。

9.社宅が経費になる

個人事業の場合、事業に使っていない部分は経費にできません。そのため、事業に使用いない自宅部分は経費になりません。

法人の場合、法人が賃貸契約をし、役員に貸し付けた場合は、「社宅」として全額経費に計上することができます。

注意点としは、会社が役員にタダで貸し付けることは認められていません。社宅賃料として役員から徴収しなければなりません。

徴収する社宅賃料の計算方法は割愛しますが、1/4~1/2程度です。

経営者がご自身で借りるより法人契約して社宅として利用した方が、経費が増え、法人税の節税になります。
法人名義で役員社宅を購入して、役員に貸し付けることも可能です。

法人成りのデメリット

1.社会保険の加入が必須

個人事業の場合は、一部の業種を除き従業員が5人未満であれば従業員の社会保険の加入は任意です。

一方で会社の場合は、社会保険の加入は原則必須で、従業員だけでなく経営者も加入しなければなりません。

2.会社設立用がかかる

会社を設立する場合、例えば株式会社の場合、登録免許税(最低15万円)、定款認証(約5万円)、印紙代、司法書士報酬、社印の作成等で少なくとも合計30万円ほどかかります。

3.赤字でも住民税の支払いあり

会社がある都道府県、市町村によって若干の誤差がありますが、法人の場合、赤字でも約7万円の住民税が発生します。

4.決算作業・法人税申告の事務負担が増加

株式会社では、年度ごとに株主総会を開催しなければなりません。取締役会を設置している場合は、定期的に取締役会も開催しなければなりません。
株主総会や取締役会を開催したときは、議事録の作成も必要です。

また、法人税等の申告は所得税の申告と異なり、作成する書類が多く、税務上の知識が必要になりますの、税法の知識がない状態で法人税等の申告書の作成は大変困難です。

多くの場合は、税理士に申告書作成の依頼すると思われますが、個人事業の確定申告に比べ、作業時間が増えるため、税理士へ支払う報酬が高くなります。

5.お金を自由に使えない

個人事業の場合、個人と事業のお金は区部されておらず、稼いだお金は自由に使うことが可能です。

会社の場合、自己都合で会社のお金を使うことは横領行為になります。
どうしても必要な時は会社と個人間で金銭消費契約書を結び、一定の利息を支払を支払わなければなりません。

6.接待交際費の上限が決まっている

個人事業の場合、交際費等の経費は業務上必要であれば上限なく経費に計上できます。
当然ですが、業務上必要な経費だけですので、事業と関連のない飲食費や贈答等は計上できません。

一方、法人の場合、交際費は上限800万円までです。(飲食費が1,600万円を超える場合は飲食費の50%まで経費計上可能。)
法人の場合も当然ですが、事業と関連のない飲食費や贈答等は経費計上できません。

 

まとめ

法人成りはメリットもありますが、デメリットもあります。

事業拡大や所得が増えている方は法人成りする方がメリットが多いと思われますが、それでもケースバイケースです。長期的な視点をもって個人事業の方が良いのか法人成りした方が良いのか見極める必要があります。
どうしようか悩まれている方は、専門家に相談することをお勧めします。

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